微生物の中には益虫、害虫がいるわけではない。大気・気候の変化が作物に害を与えるわけではない。そして、土は雑多なものを入れる器ではない。


 ひとつひとつを明確にしてみることが何より重要である。

   

■ 微生物の中に益虫・害虫がいる?

 私たち人間とは異なり、微生物はその生体構造が単純なかたちになっており、単体単種では生息できなくなっている。


必ず、自分に欠ける部分(代謝循環力など)を補ってくれる仲間が必要である。微生物にはかなりの分類があるが、今日私達の身近に存在しているものは、5~6グループに分かれ、その生態系には必ず各グループからの仲間が家族構成に入っている。


互いに益者・害者はない。それぞれが害者になる時は、その数や質のバランスが崩れた時の自然淘汰によるものであり、それぞれを浸食し合うものではない。
これらの生態系のシステムは、植物と微生物の関係においても同じことになっている。


害虫が植物を食い荒らす時は、土壌中の農薬類の存在によりカリウム量が激減し、その生態に必要なカリウムを、植物葉の光合成時に発生するカリウムから摂取しようとする結果である。

 

■ 地球上に生命が発生・誕生したのは、豊かな水と紫外線・宇宙線などの天然のエネルギーの恵によるものである。

 ひも解いていくと、これらの時代には今日の地球より遥かに紫外線量(宇宙線を含む天然のエネルギー:以下紫外線と称する)が多かったことがわかる。そして、この膨大な紫外線量によるエネルギーを清らかな水が受けることにより、生命が誕生したことも明らかになってくる。


現に、私達人間を含む地球上の生命体は、紫外線による光合成を体表面や内部におこし、その生命力を維持している。


この紫外線が害となってしまう現代人の細胞から示唆できることは、生命体の方が自然界の摂理とは異なった方向に変化してしまったということである。


私達人間は、その代謝能力を超える食物保存料や農薬を口にし、作物は食味が良いとのことで、表皮はやわらかく、しかも早期に成熟収穫できる方向に品種改良されてきた。
私達が自ら引き起こした、すべてのものの衰弱化が原因になっている。


また、農作物の病気と呼ばれているものも、ほとんどが葉の表や裏側に発生しているが、これらも土壌の養分不足により、生息場所を土の中から他の地に求めた微生物により引き起こされている。

 

■ 大気・気候の変化による害?

 確かに、長雨が続くと作物は収穫できなくなってしまう。そして、その後には堆肥にも使えなくなってしまう。


しかし、これらの害も同条件で栽培されている状況のなか、場所により差が出ている。
今日、騒がれている異常気象の程度は、本当にこの地球上の生命体の生態系をも狂わせる程の、地球レベルでの異常事態なのだろうか。


日々に増す紫外線により、人も皮膚ガンなどの疾患にみまわれている。そして、この紫外線の一部に有害な物質があり、作物が全滅するということも聞かれている。


これらのことは、少し視点を変えてみればすべてが明らかになってくる。


この紫外線量の増加傾向の中、現代の私達生命体にも、どんどん活力を取り戻す動植物は大いに存在している。これらのほとんどは、原始よりこの地球に生息していた動植物である。


雨が多くなり作物が全滅するということは、その降雨量ではなく、その雨の成分に問題があると考えられないだろうか。また、その種が弱くなってくることで、持ちこたえられなかったと考えられないだろうか。

 

■ 土は入れ替え自由の器?

 現在の土壌改良で聞かれるほとんどのものが、作物に必要で足りないものを入れる対処療法になっている。ここで明確に整理しておかなければならないことは、視点が農作物にあり、植物に必要で足りない成分や物質を、土壌に入れていないだろうかということである。水や紫外線からなる養分や増殖や、直接的な養分の運送補給は微生物によりまかなわれている。そして、微生物の休息地や誕生の地が「土」であることを忘れてはならない。土壌改良とは、作物に必要なものを土に入れるのではなく、土に必要なものを入れ、生きた活力ある土に改良することを意味している。このことで微生物が元気になり、本来のはたらきを始め、作物が生き返るのである。こうして、すべての生態系のバランスと循環がよみがえると、連作などによる不作もなくなるはずである。

       
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